アレルギーとは

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アレルギーとは私たちの体には細菌やウイルスなどの微生物や異物などが入ってきたときに攻撃し、排除して身を守る「免疫」という機能がそなわっています。しかし、遺伝的な要因や環境によって、食物や花粉、ほこりなど私たちの体に害を与えないものまでを異物と認識し、免疫が過剰に反応して体に様々な症状を引き起こしてしまうことがあります。このような反応のことを「アレルギー」といいます。

アレルギーの病気について

アレルギーの病気にはアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹などがあり、当クリニックではこのような病気を専門的に診療いたします。

アレルギーの病気は、年齢によって発症しやすいアレルギーが異なるという特徴があります。アレルギーを起こしやすい体質のお子様は、乳児期に湿疹やアトピー性皮膚炎が最初に発症して、その後、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎と次々に発症していくことが多く、これを「アレルギーマーチ」と呼んでいます。アレルギーマーチを防ぐには、乳児期の湿疹を早期に治療することが大切です。

当クリニックのアレルギー診療は、一般診療とは別にアレルギー専門外来を週3日(月、水、金)行います。基本的に予約制とさせていただいており、ひとりひとりの患者様に時間をかけて診療いたします。また、一般診療や予防接種での受診の際に、アレルギーの相談をしたいなどある場合はご相談いただき、当日アレルギー外来受診または後日のアレルギー外来の予約が可能です。患者様の現在のアレルギー疾患の診断、治療を行うことはもちろんですが、今後発症する可能性があるアレルギー疾患の予防も考えて対応いたします。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、かゆみの強い湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す病気です。湿疹は、皮膚が赤くなってブツブツができたり、じくじくしたり、かさかさして皮膚がむけたり、かたくかさぶたができたりします。こうした湿疹が全身に左右対称に現れ、乳児では顔から首、頭皮から始まり、徐々にからだや腕、足などに広がりやすく、幼児では首やひじ・ひざの内側など限られた部位に出やすいなどの特徴があります。

アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能(皮膚の水分が蒸発して乾燥したり、細菌や異物などの外界からの刺激物質が侵入したりするのを防ぐはたらき)が低下しており、外からの刺激物質が侵入することにより皮膚に炎症が引き起こされます。

アトピー性皮膚炎の治療

治療はバリア機能を補うためのスキンケア(保湿剤など)、皮膚の炎症を抑えるための薬物治療(ステロイド外用薬など)、かゆみをひどくさせるような原因に対する環境整備・対策が基本となります。

一般的にはまずは炎症を抑えるためにステロイド外用剤が使用されます。湿疹があるときにステロイド軟膏を塗り、湿疹がなくなったら保湿剤のみを塗る方法をreactive(リアクティブ)療法といいます。軽い湿疹の場合はこの方法でも湿疹がない状態を維持できることがあります。しかし、見た目に湿疹がなくても皮膚の奥で炎症が残っている状態でステロイド軟膏をやめると、またすぐに湿疹が出てきてしまうことがあります。その場合はステロイド軟膏で湿疹をなくしたあと、湿疹がない状態でも定期的にステロイド軟膏を塗り続け、ゆっくり減らして再燃を防ぐ方法で治療をおこないます。これをproactive(プロアクティブ)療法と言います。

当クリニックではお子様の皮膚の状態によって、軟膏を塗る場所や塗る回数、頻度などをお伝えし、わかりやすく紙に書いたものをお渡しします。また、スキンケアの方法や軟膏の塗り方なども時間をかけて丁寧にご説明いたします。
乳児期に湿疹の程度が強かったり湿疹が長く続くほど食物アレルギーが発症する割合が高くなると言われており、早期に治療することが大切です。

食物アレルギー

食物アレルギーのイメージ写真

食物アレルギーは、特定の食品を摂取することで免疫が過剰にはたらいて起こるアレルギー反応のことです。
症状としてはかゆみや蕁麻疹などの皮膚症状、鼻汁、咳、ぜん鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー)、呼吸苦などの呼吸器症状、目や口の中のかゆみや腫れなどの粘膜症状、腹痛や嘔吐、下痢などの消化器症状、元気がなくなるなどの神経症状があります。これらの症状が1つだけあらわれる場合もあれば、急に複数の臓器に症状があらわれることもあり、これをアナフィラキシーといいます。さらに血圧低下や意識障害などが出現し、生命を脅かす危険な状態になることもあり、このような状態をアナフィラキシーショックといいます。
このような症状が2時間以内にあらわれるタイプを即時型食物アレルギーといい、IgE抗体というアレルギー反応を引き起こす抗体が関与して引き起こされ、最も多いタイプになります。最近はIgE抗体が関与せず、摂取してから数時間後に主に消化器症状を認めるタイプの食物蛋白誘発胃腸症(いわゆる消化管アレルギー)も増えています。
即時型アレルギーの原因食品は、乳児期は鶏卵、牛乳、小麦が多く、年齢が上がるにつれて落花生、木の実類(クルミ、カシューナッツなど)、甲殻類(エビ、カニ)、ソバ、果物類などのアレルギーが増えてきます。また、近年日本では、クルミなど木の実類アレルギーが急増しています。食物蛋白誘発胃腸症では乳児期早期ではミルク、離乳食開始後は卵黄が多いです。
当クリニックではまず、症状がでたときの状況など詳しくお聞きし、血液検査や皮膚プリックテストなどを行います。また、場合によっては確定診断のために食物経口負荷試験(病院で疑わしい食品を食べて症状が出るかどうかをみる検査)を行います。
食物アレルギーの治療は「正しい診断に基づいた、必要最小限の除去」が基本となっています。当クリニックでもその方針を重視しています。過去に症状がでたり、食物経口負荷試験で症状がでた場合でも、少ない量なら食べられる可能性があり、安全に食べられる量を日常的に食べ続けることで将来的に食べられるようになることが期待できます。安全な量がわかれば、具体的な食べ方や食べる頻度、食べられる加工品など説明させていただきます。
また、誤食などで症状が出た時の対処法も大事です。薬の処方はもちろんのこと、どの薬をどのような症状がでたときに使うのかなど細かく説明いたします。
「アレルギーのような症状がでた」、「症状は出ていないけど兄弟にアレルギーがあるので離乳食をどうしたらいいかわからない」、「すでにアレルギーと診断されたけれど具体的にどうしたらいいかわからない」など気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

食物経口負荷試験

こちらをご覧ください。

気管支ぜん息

気管支ぜん息は、空気の通り道である気管支(気道)がせまくなり、息をするときに「ヒューヒュー」、「ゼーゼー」という音がするぜん鳴や咳が止まらない、呼吸が苦しくなる発作を繰り返す病気です。お子様の年齢で診断された場合は「小児ぜん息」と呼ばれます。気管支ぜん息では気管支に慢性的な炎症が起こっており、様々な物質に対して過敏になっています。そのため、ダニやハウスダスト、ペットの毛などのアレルゲン、風邪などの感染症、たばこや花火の煙、天候や大気汚染、激しい運動、ストレスなどによって発作が起こります。咳は発作的に起こることが多く、とくに夜から明け方にかけて症状が強まります。睡眠中に呼吸困難が強くなり、目が覚めてしまうこともあります。

小児ぜん息の治療

ぜん息の治療は、発作が起きた時に、その症状を鎮めるための「発作治療」、気管支の炎症を抑えて発作を予防するための「長期管理」、ダニやほこりを減らす「環境整備」の3種類あります。

発作治療

狭くなった気管支を広げる気管支拡張薬を使用します。発作の症状が強いときや長く続くときはステロイドの内服や注射薬を使用することもあります。

長期管理

気管支の炎症を抑える薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬、吸入ステロイドなど)を使用します。

環境整備

ダニが原因の場合はこまめな掃除や布団やじゅんたんなどの管理をこまめにすることでダニの繁殖を減らす対策を行うなど、悪化因子の除去をします。

気管支の炎症が長く続き、発作を繰り返すことによって気管支が硬くなり、狭くなった状態から元に戻りにくくなってしまします。発作がでているときの治療も大事ですが、発作を起こさないように長期管理を行っていくことが大切です。
当クリニックでは小児気管支ガイドラインに基づき、お子様の発作の頻度や強さに応じた治療を行います。また、具体的な発作時の対応や吸入ステロイドの使い方なども丁寧に説明します。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、アレルギー反応によって、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が起きてしまう代表的なアレルギー疾患です。主にハウスダストやダニが原因の通年性アレルギー性鼻炎(一年を通して症状が出るタイプ)とスギやヒノキなどの花粉が関連する季節性アレルギー性鼻炎(特定の季節に症状が出るタイプ、いわゆる花粉症)とがあり、両方が合併しているお子様もいます。近年、アレルギー性鼻炎の発症が低年齢化しており、小さなお子様の場合は症状をうまく表現できず、鼻をこする、口呼吸などの症状で気づかれる場合もあります。重症の場合は学習や生活に支障をきたすため、早めの治療が必要です。治療には抗原の除去(ダニ対策としてこまめに掃除をする、じゅうたんを避けるなど、花粉に対してはマスクをつけて外出するなど)、症状に対する薬物療法(抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、ステロイド点鼻薬)、アレルギー性鼻炎を根本的に治すアレルゲン免疫療法があります。
当クリニックでは薬物療法はもちろんですが、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)も行っています。気になる症状がある場合にはご相談ください。

舌下免疫療法

こちらをご覧ください。